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被災者でいっぱいの避難所に、
水の入ったペットボトルをたたきつける音が響き渡る。
この場所で生活を始めたばかりの大田敦也君(10)が、
兄の貴之君(12)に遊んでもらっていた。しばらくすると
敦也君は毛布の上に寝転がり、
母明子さん(38)の携帯電話を手に取った。
「テレビ見たいのに、もう電池がないよー」。
不安げな声が次第に大きくなっていく。
「大丈夫よ、大丈夫」。
周りの目を気にしながら明子さんがなだめた。
約300人が避難生活を送る岩手県大船渡市の
市立大船渡北小学校の体育館。自閉症の敦也君は、
この学校の特別支援学級の4年生。
行動が落ち着かないため、
明子さんはつきっきりで世話をする。
今は、疲れているのか夜はよく眠っている。でも、
ちょっと目を離した隙に行方が分からなくなったこともあり、
気の休まるときはない。
「それでも体育館では手足を伸ばして寝られるだけでも、いい」。
明子さんはしみじみとそう言った。
敦也君は余震などが起きると大騒ぎしてしまう。
パニックで避難者に迷惑をかけることを恐れ、
一家は地震後の1週間、避難所に入るのを避け、
車中泊を続けていたからだ。
□ □
寝泊まりしていたのはワゴン車。
敦也君は1日の大半を車内で過ごしていた。
テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」のせりふを繰り返し、
鼻歌交じりに車の壁をリズムよくたたき続けた。
多くの自閉症児と同じく、
敦也君も環境変化や強い刺激が大の苦手。
見知らぬ人に囲まれたり、
サイレンや雷の音を聞いたりすると、
耳を塞いで「どうしよう」と大声で泣き続ける。
事情を知る小学校の先生や友達が、
敦也君の車におにぎりを届けてくれ、
食事に不自由はなかった。しかし、
避難所には学校以外の人も身を寄せ合う。
明子さんは
「誰もが敦也の障害を理解してくれるとは限らない。
いつ大騒ぎしてしまうかと思うと、
避難所には入れなかった」と振り返る。
敦也君の祖父、勝介さん(70)らも同じ車で過ごした。
「敦也を安心させるため、
できるだけ一緒にいよう」と校庭に車3台を並べ、
親戚を含め計8人で車中泊を続けた。
敦也君の家も勝介さんの家も、
明子さんの実家も津波で流された。
「車以外に泊まるところがない」のが実情だった。
市内には毎晩のように乾いた雪が舞う。
勝介さんが夜中に寒さで目が覚めると、
エンジンを5~10分かけ、暖房を動かした。
しかし、残るガソリンはわずか。
風呂も入れず、下着を買いに行くこともできないまま
地震発生から1週間を車内で過ごした。
明子さんは「いつまでこの生活が続くのか」と
不安で目が覚め、
朝4時から眠れないこともあった。
狭い車で過ごすのは限界だった。
今の避難所暮らしは、
その時よりは快適であることは間違いない。
ただ、敦也君が「車でご飯を食べようよ」と言うこともある。
この先の生活の見通しは立っていない。
「周りに大目に見てもらいながらここで過ごしたい」と
一家は願っているが、不安が消えることはない。(安倍龍太郎)
避難所で自閉症の子を受け入れるには
日本自閉症協会(東京都)によると、
普段と違う場所や騒音に弱い自閉症の人には、
避難所での生活は相当なストレスがかかるという。
同協会は「寝ている人がいるから静かにする、
といった共同生活の『暗黙の了解』も苦手」と説明する。
パニック状態になって大騒ぎする可能性もあるため、
「家族も『迷惑をかける』と悩んで、
避難所に入れないことがある」という。
アスペルガー症候群など自閉症と似た特性を持つ人たちにも、
同様のことが当てはまる。また、
一見障害があるようには見えなくても、
程度の差はあれ自閉症に近い特性を持つ人は多い。
避難所に入れず車や傷んだ家で生活する例は、
2004年の新潟県中越地震の時にもみられた。
避難所に入れないことで、周囲に問題が認識されづらい、
配給が受けられない--といった弊害を生むことも指摘されている。
同協会は、そうした人たちや受け入れ側に対応策を示すため、
「自閉症の人たちのための防災ハンドブック」を作成。
自閉症の特性の説明や、コミュニケーションの取り方などをまとめた。
その中で、「わがままではなく障害の特性であることを知って」と
周囲の理解を求めている。
特に重要なのはパニック状態になった際の対応だ。
しかったり押さえつけたりせず、「『大丈夫だよ』と声をかける」
「離れた場所に移して落ち着かせる」
「興味を切り替えられるもの(飲み物・食べ物・ゲームなど)を
勧める」といった方法が有効という。
指示する際には、本人に個別に説明することが重要だ。
順番を守るということを理解しにくい人には、
配給なども個別にする必要がある。
同協会は避難所に専門の知識を持ったスタッフを置くことが必要
と訴えているが、そうした態勢を十分に整えるのは容易ではない。
そのため、同協会は、周囲の視線や音を気にする場合は、
避難所に仕切りで区切った場所を用意する、
耳栓やヘッドホンをつけてもらって騒音を遮る、
といった応急策も示している。(赤井陽介)
ただこれはただの1例でしかなく、
もっと多くの避難所で起っている悲劇だと思って います。
障がいを持つ子の親として、何とかしたいという
非常に差し迫ったおもいで在りますので
皆様にもご協力願い、山形県の受け入れを被災地にて
広報して頂ければと思います。
『山形県の支援体制の動きをお知らせします』
こちらは被害が少なく被害の大きさが報道されるたび、
被災地の障害を持った子ども達とご家族の事が心配になり、
素早く被災を受けた家族(支援学校の)を受け入れるように
有力な方々に県に働きかけ て頂き 現在はある程度の支援体制が整ったと伺っています。
ただ県としては行政をまたいでの広報は出来ないようで、
県ではそういう対策はとっても避難所で相談を受けた時点で
県庁から係が出向き、個々に支援させて頂くといった受動的な取り組みです。
【山形県ホームページより】
平成23年度 東北地方太平洋沖地震情報 被災地(被災者)の支援について
の中に福祉避難所の開設について書いてあります。
福祉避難所の開設についての連絡先
山形県健康福祉課
023−630−2203、2293(直)
FAX 023−630−2111
E-mail yshogai@pref.yamagata.jp
※特別支援学校においても転校等の長期避難に関しても
対応を取っているようです。
※避難所で保健師等が受け入れ対象者に各当する事を判断した場合に、
避難所担当者からの電話連絡でとなります。
※施設への直接申し込みはしていないようです。