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「こうちゃん学校をやすみたい 」
このおはなしは、
出来の良い兄と比較されて落ち込む主人公が、
次第に自分の価値に気付き立ち直っていきます。
セルフエスティームを形成する方法、
自分に自信を持つためのノウハウを
小学校低学年の児童にも分かるように、
具体的に紹介しています。
※この本は現在重版未定の本ですので、書店で購入することができません。
うもれてしまうのが残念なので紙芝居にしてみました。
「こうちゃんと お兄さんて、ぜんぜん にてないんだね。」
1時間目が はじまる まえ、 となりの せきの
くみちゃんが、そんなふうに いいました。
こうちゃんは、なんて へんじを していいのか、
わかりません。
「そうさ。たしかに お兄ちゃんは、できが いい。
ぼくみたいな だめな 子とは ぜんぜん ちがうよ。」
そんなふうに いえば いいのでしょうか。
けさ、こうちゃんの お兄ちゃんの かずやくんは、
全校じどうの まえで、校長先生から しょうじょうを
うけとりました。
市の 読書感想文の コンクールで ゆうしゅう賞を
とって、それが ちょうれいで しょうかいされたのでした。
お兄ちゃんは、本を 読むのが 大すきです。
文を 書くのも じょうずです。まえに、
作文コンクールで しょうを とった ことも あります。
日よう日。きょうは、お母さんと あかりちゃんが、
びょういんから 帰ってくる 日です。
お父さんが 車で むかえに いきました。
こうちゃんは、お兄ちゃんと いっしょに、家で
まっています。
「ただいまー!」
お母さんです。あかりちゃんを だいています。
こうちゃんは うれしくて、お母さんに かけよります。
「お帰りなさ……。」
「かずや、お父さんから きいたわよ。感想文コンクールで、
ゆうしゅう賞を とったんだってね。おめでとう!」
お母さんは、お兄ちゃんのほうを むいて、
うれしそうに ほほえみました。
お兄ちゃんは、お母さんに ほめられたので、ちょっと
てれくさそうに、頭を かいています。
「あばばばば!」
お父さんは、あかりちゃんをあやしています。
だれも、こうちゃんのほうを 見ていません。
「こうちゃんは よく朝、「ゴホッ、ゴホッ。」と
からぜきを しました。
「頭が いたいよ。」
と、いってみました。
「まあ、かぜかしら。」
お母さんは、しんぱい顔です。
「ねつは ないわね。でも、ひどくなると いけないから、
きょうは 学校を やすむ?」
こうちゃんは、うんと うなずいて、ベッドに
もぐりこみました。これで、きょうは、お母さんを
どくせんできそうです。
こうちゃんは うれしくなります。
ふとんを 頭から かぶり、お母さんに
見えないように、うふふ と わらいます。
でも、つぎの お母さんの ことばで、こうちゃんの
ふとんの なかの えがおは、すーっと きえました。
「こうちゃん、きょうは なるべく、おへやから
でないでね。小さい あかりちゃんに、かぜが
うつったら、たいへんだから。」
お母さんは、あかりちゃんの せわを しながら、
こうちゃんの めんどうも、きちんと みてくれました。
「こうちゃん、今、あかりちゃんの ミルクの 時間が
おわったから、おじやを つくってあげるわね。」
「こうちゃん、今、あかりちゃんが おひるねした
ところなの。アイスクリームでも 食べる?
もってきて あげようか。」
でも、一番は、どうしたって あかりちゃんなのです。
「まえに ぼくが かぜを ひいた ときに くらべると、
お母さんの やさしさは、ぜったい 少なくなって
いる。」
こうちゃんは、そんなふうに かんじました。
「もっと、もっと……やさしくしてほしいんだ。」
こうちゃんは、つぎの 日も、そのつぎの 日も……
なん日も 学校を やすみました。
「おかしいわ。ほんとに かぜなのかしら?」
お母さんは、おいしゃさんに こうちゃんを
つれていきました。
「どこも わるくないですよ。」
おいしゃさんは、そう いいました。
つぎの 朝、お母さんは、ベッドのところまで
いって、こうちゃんをおこしました。
「こうちゃん、かぜは なおってるみたいよ。きょうから、
学校に いこうね。」
こうちゃんは、だまったまま おきて、だまったまま
きがえて、だまったまま 朝食を 食べて、
だまったまま ランドセルを せおいます。
げんかんの ところで、お母さんは あかりちゃんを
だいたまま、お父さんと お兄ちゃんと こうちゃんを、
見おくります。
「いってらっしゃーい。ほら、あかりちゃんも、
『行ってらっしゃい』を しようね。」
お母さんは あかりちゃんの 手を とって、
いっしょに ひらひらと よこに ふります。
お父さんが、あかりちゃんに 話しかけます。
「おりこうだねー、あかりちゃん。かわいいねー、
あかりちゃん。」
ずっと だまったままだった こうちゃんは、
がまんできなくなって さけびました。
「どうせ ぼくなんか、ばかだし、かわいくないよ!」
大声で なきだした こうちゃんを 見て、お父さんも
お兄ちゃんも びっくりしましたが、うしろを
ふりかえりながらも、会社と 学校に むかいました。
お母さんは、あかりちゃんを ベビーベッドに ねかせ、
こうちゃんと まっすぐ むきあいました。
「こうちゃん、あかりちゃんが 生まれてから、お母さん
いそがしくて、こうちゃんの 話、ゆっくり きく
ひま なかった。ごめんね。」
「……ぼく、ぼく、お兄ちゃんには かなわない。
お兄ちゃんは、頭も いいし、かっこいい。
学校じゅうの 人気ものなんだ。」
こうちゃんは、ひっく ひっくと、しゃくりあげています。
「ぼく、ぼく、生まれたばかりの あかりちゃんにも
かなわない。お母さんも お父さんも、あかりちゃんの
ほうばっか 見てる。ぼくの ことなんか どうでも
いいんだ。しかたないよね。ぼくは、できが わるいし、
かわいくも ない。いい とこなんか、ひとつも ない!」
お母さんは こうちゃんを、
ふわりと だきしめました。
「こうちゃんには、いい ところが いっぱい あるじゃ
ない。もっと じしんを もっていいのよ。こうちゃんは、
とっても やさしいわ。まえに お母さんが かぜを
ひいた とき、氷まくらを なんども かえてくれたよね。
レモネードを つくってくれたよね。」
「だって、それは、ぼくが かぜの とき、お母さんが
そうしてくれたから。まねしただけだよ。」
「まくらもとで、パンダの 絵を かいてくれたよね。」
「お母さんが、『なんか かいて。』って いったからだよ。」
「うん。お母さんね、こうちゃんの かく 絵、大すきなの。」
お母さんに だかれて、こうちゃんの 心は、
だんだん だんだん あたたまっていきます。
「ねえ、かずやにも、こうじにも、あかちゃんの ときが
あったのよ。お父さんは、毎日『アババババ。』って
いってたわ。3人とも、かけがえの ない だいじな
だいじな いのちなの。わかってね、こうちゃん。」
お母さんの うでの なかで、お母さんの ひとみの
なかに ちゃんと うつっている 自分を 見て、
こうちゃんの 心は、とても やすらかに なりました。
つぎの 日から こうちゃんは、学校に いきました。
3時間目は 図工の 時間。先生が こう いいます。
「きょうは、自分が すきな ものや、だいじに
思っている ものの 絵を かいてみてね。」
「おれ、機動戦士ガックンの プラモの 絵、かこうっと。」
「わたしは、うちで かってる うさぎの ラビコの 絵。」
こうちゃんは、ちょっと 考えてから、1まいの
絵を かきはじめました。お母さんが あかりちゃんを
だいている ところです。きのうの お母さんの 話を
思いだしながら、心を こめて かきました。
かきあがった 絵の あかりちゃんは、もちろん
あかりちゃんですが、それは、ちょっと お兄ちゃんにも
にていたし、こうちゃんじしんにも にていました。
「まあ、あたたかくて いい 絵ね。」
先生は、こうちゃんの 絵を、コンクールに だしても
いいかな、と ききました。
3か月後。こうちゃんは、全校じどうの まえで、
ちょっと きんちょうした 顔で たっていました。
こうちゃんの 絵は、絵画コンクールで 銀賞を
もらい、それが ちょうれいで しょうかいされたのでした。
「こうちゃん、やったね。すごーい!」
クラスメイトの くみちゃんが、ほめてくれます。
「う、うん。でも、たまたまだよ。いつも しょうを
とっている お兄ちゃんとは ぜんぜん ちがう。」
「顔も ほんとに にてないね。それって、いいよね。
あたしね、おねえちゃんと 『よく にてる。』って
いつも いわれるの。あまり いい 気分しないんだ。
もちろん、おねえちゃんの ことは 大すきだけど。
あたしは、あたあしだから。あたしじしんを
見てよ、って かんじ。」
ああ、くみちゃんは、まえの ときも、そういう いみで
いってたのか。それを、ぼくは、かってに ひがんで……。
こうちゃんは、ひがんだ 自分が、ちょっと
はずかしくなりました。……ちがうから おもしろいし、
ちがうから すてきなんだな。
「こうちゃん、あの絵の あかちゃん、妹だって?」
「うん、あかりって いうんだ。かわいいんだぜー!」
こうちゃんは 思いました。きょう 帰ったら、
まっさきに、この絵を あかりに 見せてやるんだ。
こうちゃんの 絵の タイトルは、『たからもの』です。
(おわり)
>紙芝居をパワポにして、文章を読み聞かせました。
ありがとうございます。こうちゃんのお話大活躍ですね!
忙しい生活のなかで、大切な子ども達の想いを気付ける親になりたいと、
私も思っています。この話がヒントになればと思いブログに載せました。
ペテロナナさん、是非紹介して下さい。
そして、児童虐待が少しでも軽減されます様に願ってます。
真也ママさん、いつも素敵な記事をありがとうございました。おはなしノートの使い方のところはコピーさせていただき、特別支援教育を学ぶ学生に紹介しましたところ、真似したい、という人が続出でした。もちろん、子ども一人ひとりの実態に合わせて、ということですが。真也ママさんの工夫のすごさに学ぶところが沢山あります。この絵本も子どもの気持ちがとってもよく伝わって、素敵な絵本ですね☆ また学生さんたちにお伝えしてもいいですか?今後もいろいろ教えてくださいね☆
>特別支援教育を学ぶ学生に紹介しましたところ、真似したい、という人が続出でした。
わぁ~い!!
特別支援教育を学ぶ学生さんにも広がっているのがとても嬉しいです!
ありがとうございます。是非みなさんにお伝え下さい。
これからも、どうぞ宜しくお願いします。
このお話は本当に心が温まるお話ですよね。
読んで頂けて嬉しいです。
とっても素晴らしい内容の児童書を紹介します。 vitamin_mama
大事な事だよね。親として知らず知らずのうちにこうなる事ってありますね。反省します。でも、みんな大切なんだよと、伝えたいです。
私の子どもの頃もこうちゃんと同じで、兄妹と自分を比べて
辛い時が有りました。
すごく、こうちゃんの気持ちが分かるんです。
そして現在自分の子ども達もそれぞれ同じ様に対応しているつもりですが、
この絵本を読んで私も気付かされました。
ほんとに、みんな大切なんだって、伝えたいですね。